半導体製造現場のセキュリティ対策の現状と切り札

半導体製造現場のセキュリティ対策の現状と切り札

はじめに:なぜ今マルウェア対策が急務なのか

半導体はスマートフォンや自動車など多様な製品の中核を担う重要資源であり、生産ラインの安定稼働は国家レベルの課題です。
しかし、半導体製造現場ではオフライン端末やスタンドアローン環境が多く、一般的なクラウド型セキュリティソフトが利用できません。結果として、USBメモリや保守用PCを経由したマルウェア侵入が大きなリスクになっています。

マルウェアによる被害例

・TSMC(2018年):マルウェア感染で生産ラインが停止し、約2.5億ドルの損害。
・欧州製造業(2020年):ランサムウェア被害1件あたり平均1,700万ユーロ。
・日本(2023年):製造業のサイバー被害が前年比1.5倍に増加。
・世界全体(2024年):製造業は全産業で最も攻撃を受け、26%を占める。

このような事例に加えて、下表にStatista社の調査による2022年から2024年までの世界における業種別サイバー攻撃件数の割合を示しますが、2024年ではサイバー攻撃全体の26%が製造業に集中しており、製造業がサイバー攻撃の主要ターゲットとなっていることは明白です。

出典:https://www.statista.com/statistics/1499066/global-cyberattack-incidents-by-industry/ 

半導体製造現場に特有の課題

オフライン・スタンドアローン環境
外部ネットワークから隔離されているため、一般的なセキュリティ製品を導入できません。

保守・更新時の感染リスク
外部業者のノートPCやUSBメモリを介した感染は、現在も多い発生源です。

SEMI規格による新たな要求
SEMIは2022年に E187 / E188 を発行し、装置出荷前・保守作業時のマルウェア対策を義務化しました。
E187:装置出荷前のマルウェアスキャンを要求
E188:装置導入・保守時のマルウェアフリー保証を要求
いずれもスキャンの実施・レポート提出まで求められ、国際取引の信頼性にも直結します。

SEMI規格の背景(参考情報)
経済産業省 : 半導体デバイスメーカー向けのOTセキュリティガイドラインを作成中
OT(Operational Technology)セキュリティとは、工場や発電所、交通インフラなどの産業制御システムを保護するためのセキュリティ対策のことです。経済産業省と半導体デバイスメーカーが中心となり、2026年の夏に向けて半導体装置向けのOTセキュリティガイドラインを作成しています。そこではSEMI E187が参照されており、SEMI E187の対策が組み込まれる可能性が高いと考えられます。

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sangyo_cyber/wg_seido/wg_semiconductor/index.html 

SEMI規格と「ワクチンUSB3」の関係

ワクチンUSB3 は、インストール不要でオフライン端末をスキャンできるマルウェアチェックツールです。SEMI規格が求める 出荷前スキャン(E187)保守前後の検査(E188) に対応可能です。

規格主な要求事項ワクチンUSB3での対応例
SEMI E187出荷前のマルウェアスキャン、脆弱性スキャン装置出荷前にUSB3でオフラインスキャンを実施
レポートを添付
SEMI E188運用・保守時のマルウェアフリー維持保守作業前後にUSB3で端末を検査・隔離
証跡レポートを保存

ワクチンUSB3の特長とSEMI規格対応に貢献するレポート発行機能

オフライン環境でも利用できるよう設計されたのが ワクチンUSB3 です。
ワクチンUSB3 を端末のUSBポートに接続して起動するだけで、端末をマルウェアスキャンできます。

  • インストール不要
    ワクチンUSB3を挿すだけでスキャン可能。完全オフライン環境でも利用できます。
  • 1本で複数端末に利用可能
    効率的なライセンス形態で、工場全体の運用に適しています。
  • 高精度、高速スキャン
    ワクチンUSB3をオンラインPCを使って定義ファイルを更新することで、最新のマルウェアに対応。スキャン時間が短縮できる、差分スキャンや対象絞り込みスキャンなどのオプション設定も可能です。
  • ログ機能
    スキャン結果や端末情報は自動でワクチンUSB3に保存されるので、資産管理に活用できます。
  • レポート自動生成
    検査日時・端末情報、検出マルウェア情報、定義ファイルバージョン、総合判定などをレポート化します。

スキャンした結果を、E187/E188が求める証跡管理にそのまま利用できる形式でレポート出力することも可能です。

レポートサンプル:ワクチンUSB3 マルウェア診断レポート

導入による効果

装置メーカー

  • 出荷前検査でE187準拠を実現
  • トラブル減少によるサポート工数削減
  • 国際取引での信頼性向上

工場側

  • 保守時の感染リスクを大幅低減
  • E188準拠運用を確立
  • 生産ライン停止の回避

おわりに

半導体製造現場におけるマルウェア対策は、今や必須の取り組みです。
「ワクチンUSB3」は、オフライン環境にも即時導入でき、SEMI規格対応を強力に支援する実用的なソリューションです。

“必要なときに、必要な端末だけチェックできる” シンプルな仕組みで、製造現場の要望に合わせたマルウェア対策を実現します。

1本から導入できる低コストのリスク低減策として、ぜひご検討ください。

参考情報 

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