USBについてのあれこれ
~USB規格編~

USBについてのあれこれ<br>~USB規格編~

最近のUSB規格はいろいろある

USBの規格とは

USB (Universal Serial Bus) は、パソコンや周辺機器などのデバイスを接続するための規格です。

最初期のUSB規格は転送速度が遅かったため、キーボード・マウスなどの入力機器に使用されてきましたが、規格の更新とともに転送速度を向上させることで大量のデータ通信が可能になり、NANDフラッシュメモリが搭載された「USBメモリ」で、高速かつ容易にデータを記録することができるようになりました。

近年では電源供給が容易であることから、データ通信を行わないデバイスも販売されており、様々な製品が市場に存在しています。

最近のUSB規格はいろいろある

2023年現在ではUSB 3.x系がメインストリームとして採用されていますが、名称が二転三転して内容が煩雑になっています。
USB4が設定され一旦規格の乱立も落ち着いたように思えましたが、2022/9に「USB4 Version 2.0」が発表されました。
正直な話、中の人も即答が難しいと感じているので一度まとめてみようと思います。

一覧化

前述したように、規格名称が変更されている経緯もあるため煩雑な状態です。
個別に説明をするまえに一覧化します。

古のUSB規格

USB 1.0

USB 1.0は1996年にリリースされた最初のバージョンです。
Low-Speed/Full-Speedがサポートされており、最大通信速度は12Mbpsです。
周辺デバイスは1個のみ接続することができます。

USB 1.1

USB 1.1は1998年にリリースされた、USB 1.0のマイナーアップデートバージョンです。
Low-Speed/Full-Speedがサポートされており、最大通信速度は12Mbpsです。
電源管理に関する規格が見直され、ホストに対するドライバ要求が緩和されました。
多数の周辺デバイスを接続することができます。

パッケージ・ロゴ旧パッケージ・ロゴ端子ロゴ旧端子ロゴ
変更なし変更なし

USB 2.0

USB 2.0は2000年にリリースされたバージョンです。
USB 1.1の上位互換のバージョンなのでLow-Speed/Full-Speedもサポートされています。
最大のポイントはHi-Speedのサポートが追加されており、最大通信速度は480Mbpsです。

更に高速なUSB規格もリリースされていますが、今日でも多くのデバイスに使用されているため
まだまだ現役の規格と言えるのではないでしょうか。

パッケージ・ロゴ旧パッケージ・ロゴ端子ロゴ旧端子ロゴ
変更なし変更なし

大規模アップデートのUSB 3.0

USB 3.0

USB 3.0は2008年にリリースされたバージョンです。
SuperSpeedがサポートされており、最大通信速度は5Gbpsです。
物理層にPCI Express Gen2を採用しており、USB 2.0から10倍の通信速度を実現しています。

USB 2.0からUSB 3.0は以下の3点が大きな変更のポイントです。
1.通信方式がブロードキャスト方式 → ユニキャスト方式
2.給電能力が500mA → 900mA
3.全二重通信対応のためピンアサインが9ピンに変更されている

従来のUSB規格では、接続されている全てのデバイスと通信を行い、ホスト⇔デバイス間でのデータの送受信を送られてきた順番通りに処理しています。またポーリング方式と呼ばれるデータが伝送できるかどうかの確認作業を行うため、システムへの負荷が高く、無駄のある通信を行っていました。USB 3.0でユニキャスト方式が採用されたことにより、通信するデバイスと1対1の通信が可能なため、ブロードキャスト方式に比べて効率の良いデータ伝送を行うことが可能となりました。

パッケージ・ロゴ旧パッケージ・ロゴ端子ロゴ旧端子ロゴ

少しわかりにくくなってきたUSB 3.x系の規格

USB 3.1

USB 3.1は2013年にリリースされたバージョンです。
SuperSpeedPlusがサポートされており、最大通信速度は10Gbpsです。

USB Type-Cが登場したことが大きな特長です。
コネクタの表裏がなくなったため、挿抜時のイライラが減りました。
24ピンもあるので非常に高速な通信が可能になっています。

またこちらのバージョンからUSB-PD(Power Delivery)が適用されたことにより給電能力が飛躍的に向上したため、ノートパソコンなどの充電もUSBケーブルで可能になっています。
ただし、どちらも適切な部品を選ぶ必要があるので、注意が必要です。

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USB 3.2

USB 3.2は2017年にリリースされたバージョンです。
EnhancedSuperSpeedがサポートされており、最大通信速度は20Gbpsです。

デバイス⇔ホストがどちらもUSB Type-Cであることが条件にはなりますが、USB 3.1より倍の転送速度が理論上可能です。

「トンネリング」という単一のケーブルを使用して、複数の信号を同時に伝送することができる技術が採用されているため、対応能力が向上しました。しかしケーブルの仕様によりできることが異なるので、USB-PDの時と同様に部材選びは注意が必要です。

パッケージ・ロゴ旧パッケージ・ロゴ端子ロゴ旧端子ロゴ

最新のUSB4系の規格はとてもスゴイ

USB4

USB4は2019年にリリースされた次世代規格です。
登場して間もない規格のため、市場では対応したホストを見かけることはありませんでした。(2023/2月調べ)

仕様名、製品表記名、通称が乱立していたため、USB4から(USB 3.x系よりかは比較的わかりやすい)仕様名と製品表記名が使われる方針です。
Intel社、及びApple社が規格化した「Thunderbolt」と呼ばれる規格がベースになっているため、さらなる互換性の確保が期待できます。
最大通信速度はUSB 3.2の2倍の40Gbpsです。

パッケージ・ロゴ旧パッケージ・ロゴ端子ロゴ旧端子ロゴ
旧ロゴなし旧ロゴなし

USB4 Version 2.0

USB4 Version2.0は2022年に発表された最新規格です。
当社でもまだまだ勉強中の規格です。
ブログに掲載する内容を習得したら、掲載させていただきます。

「USB4からは混乱をするような名称は使用しない」とされていましたが、早速バージョン更新されたため担当者が頭を抱えています。

パッケージ・ロゴ旧パッケージ・ロゴ端子ロゴ旧端子ロゴ
旧ロゴなし旧ロゴなし

たまに聞くUSB3.x系のお話

余談

完全な余談になりますが、「USB 3.x系のデバイスなのに、USB 2.0として認識された!」といった事例があるようです。
USB 2.0とUSB 3.xはTypeAコネクタの場合、形状は同じですがピンアサインが違います。
使用する時は、それなりの速度でコネクタを挿抜すると思いますが
ゆっく~りUSB 3.xのコネクタを差し込むと青枠部分で認識開始されてしまい、USB 2.0として認識されることがありました。

USB 2.0 Standard-A Connector Pin Assinent

# Signal Name Discription
1 VBus Power
2 Data – DifferentialPair
3 Data +
4 GND  

USB 3.0 Standard-A Connector Pin Assinent

# Signal Name Discription
1 VBus Power
2 Data – Data
3 Data + Data
4 GND  
5 StdA SSRX- SuperSpeed Receveiver DifferentialPair
6 StdA_SSRX+
7 GND_DRAIN Signal Ground
8 StdA_SSTX- SuperSpeed Transmitter DifferentialPair
9 StdA_SSTX+
Shell Shield  

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