当社より最上位ATOMとCore系 Celeronがリリース
当社から ATOM系 最上プロセッサー搭載 x6425が発売されている。
http://www.hagisol.co.jp/products/pc/detail?series_name=BXC-RLE01A
2023年6月に第11世代搭載Celeron 6305E搭載MBが発売される。
https://www.hagisol.co.jp/news/202306/0606/
同様価格帯製品で、CPUのパフォーマンスの観点選定ポイントを解説する。
上記サイトで、Intelが提供しているツールで比較表を作って、ポイントだけ抜き出した
上記サイトで、Intelが提供しているツールで比較表を作って、ポイントだけ抜き出した
※価格はプロセッサの参考価格であり、製品の価格については当社営業に問い合わせてほしい。
カタログの見方
比較表から注目ポイントのみ抜粋 優位性が高い場合は黄色にハッチング
Intel Atom x6425E Processor | Intel Celeron 6305E Processor | |
① 希望カスタマー価格 | $67.00 | $107.00 |
② コアの数 | 4 | 2 |
③ スレッド数 | 4 | 2 |
④ バースト周波数 | 3.00 GHz | 非対応 |
⑤ プロセッサー ベース動作周波数 | 2.00 GHz | 1.80 GHz |
⑥ キャッシュ | 1.5 MB L2 Cache | 4 MB Intel Smart Cache |
⑦ TDP | 12 W | 15 W |
⑧ 最大メモリーサイズ | 32 GB | 64 GB |
⑨ Intel Image Processing Unit | 非対応 | 6 |
⑩ Intel Deep Learning Boost (Intel DL Boost) | 非対応 | 対応 |
⑪ Intel Turbo Boost Technology ‡ | 対応 | 非対応 |
⑫ Instruction Set Extensions | ATOM_SSE4.2 | Intel SSE4.1 | Intel SSE4.2 | Intel AVX2 |
カタログからの注目ポイント
ATOMはそもそもネットブック向けが主流だった。Celeronは、Pentiumの歩留まり向上のために作られたとの噂もある。
両プロセッサは Windows10 IoT Enterprise Entry Licenseが利用可能となり、トータルでは価格を抑えたシステムが構築できる。
そんなことはさておき、両プロセッサの比較してみた。
ATOMは秘密兵器 Turbo Boost 機能がある。しかもブーストしたときの周波数は、1.5倍とお得だ。(バースト周波数がブーストした時の周波数となる)
Celeronは、 Turbo Boost がない上に、ベース周波数も負けている。
キャシュサイズは Celeronは4MBに対してATOMは1.5MBとなっている。ATOMには、L3 キャシュ 4MBが搭載されているが、Intelのカタログ上では L2までをキャシュとして扱っているようだ。
Core系はSmart Cacheを採用しており、L3を含めてキャシュとして扱っている。
AIをやるならISPや新しい命令をサポートした Celeronが良さそうだ。
いろいろ考えてもしかたないのでベンチマークしてみた。
ベンチマークの方法だが、ダウンロードするのも面倒なので Windows10に標準搭載されている
“WinSAT“ を使って測定してみた。
ベンチマーク結果
Celeron | ATOM | |
CPU LZW 圧縮 | 85.94 MB/s | 217.18 MB/s |
CPU AES256 暗号化 | 1013.57 MB/s | 2012.66 MB/s |
CPU Vista 圧縮 | 212.60 MB/s | 620.91 MB/s |
CPU SHA1 ハッシュ | 538.93 MB/s | 1278.39 MB/s |
ユニプロセッサ CPU LZW 圧縮 | 43.01 MB/s | 53.35 MB/s |
ユニプロセッサ CPU AES256 暗号化 | 504.72 MB/s | 486.63 MB/s |
ユニプロセッサ CPU Vista 圧縮 | 106.54 MB/s | 157.32 MB/s |
ユニプロセッサ CPU SHA1 ハッシュ | 269.80 MB/s | 321.30 MB/s |
メモリのパフォーマンス | 30774.08 MB/s | 19030.52 MB/s |
Direct3D パフォーマンス | 42.00 F/s | 42.00 F/s |
ビデオ メモリのスループット | 14864.40 MB/s | 9105.66 MB/s |
Disk Sequential 64.0 Read | 1625.98 MB/s 8.9 | 455.69 MB/s 8.1 |
Disk Random 16.0 Read | 954.49 MB/s 8.8 | 103.98 MB/s 7.1 |
ベンチマーク考察
ATOMはCeleronの3倍速くって圧倒的じゃん。Celeron駄目駄目か?
ちょっと待て、それはおかしい、早合点はいけない。
ここからベンチマークの結果を解説する。
ベンチマークソフトは、大まかに言えれば トータルのCPU性能を表示する。これは “WinSAT”だけではなく著名なベンチマークもそうだ。
簡単に言えば、CPUの数が増えれば、増えた分だけ成績は良くなる。各々のCPUの合計と考えて大きな間違いはない。
単体のCPU演算結果が、体感上に最も近い演算性能となる。
ユニプロセッサ XXXの項目を比較すると純粋なCPU単体の性能が比較できる。
Celeron | ATOM | |
ユニプロセッサ CPU LZW 圧縮 | 43.01 MB/s | 53.35 MB/s |
ユニプロセッサ CPU AES256 暗号化 | 504.72 MB/s | 486.63 MB/s |
ユニプロセッサ CPU Vista 圧縮 | 106.54 MB/s | 157.32 MB/s |
ユニプロセッサ CPU SHA1 ハッシュ | 269.80 MB/s | 321.30 MB/s |
そこまでの差ではない、ベースクロックとTurbo Boostが影響していると予測する。
ATOMの秘密兵器 Turbo Boost を封印して再度対決 その1
実験的 Turbo Boost 機能を封印して影響を確認する
Celeron | ATOM(Turbo Off) | |
CPU LZW 圧縮 | 85.94 MB/s | 161.51 MB/s |
CPU AES256 暗号化 | 1013.57 MB/s | 1486.77 MB/s |
CPU Vista 圧縮 | 212.60 MB/s | 463.39 MB/s |
CPU SHA1 ハッシュ | 538.93 MB/s | 945.51 MB/s |
ユニプロセッサ CPU LZW 圧縮 | 43.01 MB/s | 40.75 MB/s |
ユニプロセッサ CPU AES256 暗号化 | 504.72 MB/s | 359.40 MB/s |
ユニプロセッサ CPU Vista 圧縮 | 106.54 MB/s | 115.13 MB/s |
ユニプロセッサ CPU SHA1 ハッシュ | 269.80 MB/s | 238.08 MB/s |
メモリのパフォーマンス | 30774.08 MB/s | 16691.81 MB/s |
Direct3D パフォーマンス | 42.00 F/s | 42.00 F/s |
ビデオ メモリのスループット | 14864.40 MB/s | 9233.76 MB/s |
Disk Sequential 64.0 Read | 1625.98 MB/s 8.9 | 455.90 MB/s 8.1 |
Disk Random 16.0 Read | 954.49 MB/s 8.8 | 103.40 MB/s 7.1 |
ATOMの秘密兵器 Turbo Boost を封印して再度対決 その2
Turbo BoostをOffにしてユニプロセッサの項目だけに注目する。
Turbo BoostをOffにしたら星取り表が逆転した。
おそらくベースクロックの差とキャッシュアーキテクチャが差になっていると予測される。
得意苦手の演算があり差は僅差で同等の演算性能と考えて良いだろう。
ユニプロセッサ CPU LZW 圧縮 | 43.01 MB/s | 40.75 MB/s |
ユニプロセッサ CPU AES256 暗号化 | 504.72 MB/s | 359.40 MB/s |
ユニプロセッサ CPU Vista 圧縮 | 106.54 MB/s | 115.13 MB/s |
ユニプロセッサ CPU SHA1 ハッシュ | 269.80 MB/s | 238.08 MB/s |
しかし、 Turbo Boostの威力は絶大だが…
Turbo Boostは、弱点がある。Boostできる時だけBoostする。常にBoostできているわけではない。
高温の時や、各々のプロセッサの総和が制限電流を超えたらBoostできない。
ATOM Turbo Boost は優秀
第6世代 最上位と比べたらどうなる?
Celeron | ATOM | i7-6600 | |
CPU LZW 圧縮 | 85.94 MB/s | 217.18 MB/s | 319.74 MB/s |
CPU AES256 暗号化 | 1013.57 MB/s | 2012.66 MB/s | 2398.25 MB/s |
CPU Vista 圧縮 | 212.60 MB/s | 620.91 MB/s | 846.05 MB/s |
CPU SHA1 ハッシュ | 538.93 MB/s | 1278.39 MB/s | 1027.33 MB/s |
ユニプロセッサ CPU LZW 圧縮 | 43.01 MB/s | 53.35 MB/s | 128.12 MB/s |
ユニプロセッサ CPU AES256 暗号化 | 504.72 MB/s | 486.63 MB/s | 654.25 MB/s |
ユニプロセッサ CPU Vista 圧縮 | 106.54 MB/s | 157.32 MB/s | 358.42 MB/s |
ユニプロセッサ CPU SHA1 ハッシュ | 269.80 MB/s | 321.30 MB/s | 491.52 MB/s |
メモリのパフォーマンス | 30774.08 MB/s | 19030.52 MB/s | 14816.79 MB/s |
Direct3D パフォーマンス | 42.00 F/s | 42.00 F/s | 42.00 F/s |
ビデオ メモリのスループット | 14864.40 MB/s | 9105.66 MB/s | 14816.79 MB/s |
Disk Sequential 64.00Read | 1625.98 MB/s 8.9 | 455.69 MB/s 8.1 | 191.11 MB/s 7.3 |
Disk Random 16.0 Read | 954.49 MB/s 8.8 | 103.98 MB/s 7.1 | 24.31 MB/s 6.1 |
結局 最上位ATOMとCore系 Celeron どっち選べばいいの?
マルチコアを使った性能アップには相当のスキルが必要。
マルチコアは遅くなりにくいシステムと考えよう。
Corei7のノートパソコンを使っても業務アプリではほとんど体感できないことは経験済み。
まとめ
① 複数のプロセスが非同期で動くシステムである ➡ ATOM がお勧め。
② ストレージのパフォーマンスが重要である ➡ Celeronが絶対。
③ Intelの新しい命令セット“Intel SSE4.1 | Intel SSE4.2 | Intel AVX2 “が必要 ➡ Celeronしかない。
④ ブート時間を1秒でも短くしたい ➡ ATOMがお勧め。
(CPUの性能だけではなくBIOS、ドライバの影響が大きい)
上記条件が必須でなければ
USBのポート数、COMのポート数、価格や形状を加味して総合的に判断するのが良い。
新しいOSは旧プロセッサーをサポートできない。
旧世代のプロセッサを使っている場合は、リプレースの検討余地あり。
低価格化、高速化が期待できる。
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